恩赦とはわかりやすくいうと有罪確定者の減刑などを行うこと。日本でなぜ今でも行われるのか。そして過去の事例は?

来年5月1日の皇太子さまの天皇即位に伴い、「恩赦」が実施される方向で検討に入ることがわかりました。
そもそも「恩赦」とはどういう意味なのか、そしてなぜそのような制度が必要なのか、
日本での過去の事例は、など「恩赦」について気になることを調べてみました。

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恩赦とは

恩赦とは、わかりやすくいうと有罪確定者の減刑などを行うことです。
ただ、それだけではまだちょっとわかりにくいですよね。
恩赦について、もう少し詳しくみていきましょう。

恩赦とはどういう制度なのか

恩赦は、裁判で決まった刑罰を、軽減・削減する制度のことを言います。
主に行政機関が行います。

日本国憲法では、三権分立の原則が定められており、
国会、内閣、裁判所の三つの独立した機関が相互に抑制し合い、バランスを保つことにより、権力の濫用を防ぎ、国民の権利と自由を保障するとされていますが、

裁判所で決まった刑罰を、行政(内閣)によって変更するということは、
この三権分立に反することになるということ、
そして、政治的な意味合いを持つこともあり、
恩赦には慎重な運用が求められています。

恩赦の種類

恩赦には、5つの種類があります。

・大赦
一定の犯罪者全体について、刑を消滅させるものである。
有罪の言い渡しを受けた者についてはその効力が失われ、受けていない者に対しては公訴権が消滅する。

→ある罪に問われている人全員が、無罪になるというもの

・特赦
有罪の言い渡しを受けた者の内、特定の者について有罪の言い渡しの効力を消滅させるものである。

→特定の人だけ、有罪判決を無効にするというもの
(特赦の時点で有罪の判決を受けていない者に対しては効力がない)

・減刑
刑の言渡しを受けた者に対して、刑の減軽、懲役期間の短縮などを行うものである。
政令で罪若しくは刑の種類を定めて行うもの(一般減刑)と、刑の言渡しを受けた特定の者に対して行うもの(特別減刑)がある。

→罪を軽くすること

・刑の執行免除
刑の言渡しを受けた特定の者に対して行うものであるが、刑の言渡しの効力がなくなるわけではなく(前科は残る)、単に刑の執行が免除されるにとどまる。

→有罪判決が確定した刑に関して、その執行が免除される
(例えば、無期懲役刑が言い渡されて執行されている途中で仮釈放され、保護観察中の者について、
刑の執行の免除により保護観察を終了させて、社会復帰を促進させるために行われることがある)

・復権
刑の言渡しを受けたことに伴い資格喪失又は資格停止された者について、政令により(一般復権)又は特定の者につき個別に(特別復権)資格を回復させるものである。

→有罪の確定判決を受けたことで、法令上、資格を喪失したり、停止されたりした者について、その資格を回復させる
(例えば、有罪判決確定に伴って失われた法令上の資格(被選挙権など)を回復させるなど)

 

日本国憲法下では、恩赦の決定は内閣が行い、恩赦の認証は天皇の国事行為として行われます

例えば、
「刑の執行の免除」の恩赦を行う際には、
検察官・刑務所などの長・保護観察所の長が中央更生保護審査会に刑の執行の免除の上申を行って、
中央更生保護審査会がこれを審査して相当と認めた場合に、
法務大臣に刑の執行の免除の申出を行い、
内閣が刑の執行の免除を決定し、天皇が認証するという手続となります。

内閣と天皇が関わってくるんですね。

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日本での過去の事例

古くは、江戸時代。
徳川綱吉によって制定された「生類憐れみの令」
君主の代替わりによって徳川家宣が「生類憐れみの令」を廃止したときに、
「生類憐れみの令」違反で捕まった人たちの恩赦を行ったといいます。

このように、前君主における悪政とされるものを実質的に正すという機能が恩赦にはあったということです。

 

明治以降は、
大日本帝国憲法発布(明治22年)、
英照皇太后崩御(明治30年)、
明治天皇崩御(大正元年)、
昭憲皇太后崩御(大正3年)、
大正天皇即位式(大正4年)、
裕仁親王成年式(大正8年)、
李王世子李垠・梨本宮方子女王成婚(大正9年)、
裕仁親王成婚(大正13年)、
普通選挙法公布(大正14年)のほか、
大正13年に関東大震災時の混乱の際の犯罪に対して恩赦が行われました。

 

昭和以降は、
大正天皇崩御(昭和2年)、
昭和天皇即位(昭和3年)、
明仁親王誕生(昭和9年)、
憲法発布五十周年祝典(昭和13年)、
紀元二千六百年祝典(昭和15年)、
第二次世界大戦戦勝第一次祝賀(昭和17年)、
第二次大戦終結,
日本国憲法公布,
平和条約発効,
皇太子立太子礼,
国連加盟,
明治百年記念,
沖縄復帰記念,
皇太子成婚 などに恩赦が行われました。

これを見て、恩赦の多さに驚かれた方も多いのではないでしょうか。
犯罪者に対して、有罪判決を無効にしたり、刑を軽くするようなことが、
こんなにも行われてきたのです。

皇太子様さまご結婚の際は、
「特赦」90件、
「減刑」246件、
「刑の執行免除」10件、
「復権」931件
合計1277件の恩赦が実施され、
うち7割超を公職選挙法違反事件が占めました。

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新天皇即位での恩赦

2019年に皇太子さまが新天皇に即位されることに伴い、政府が恩赦を実施する検討に入っていることがわかりました。

江戸時代の君主交代における恩赦は理解できますし、
戦時中や戦後、世の中が大きく変わったときに、恩赦を行う必要があることも理解できます。

ただ、現在の日本において、
政治的な意味合いもある恩赦を行う必要があるのでしょうか。

直近に行われた恩赦は、
皇太子さまと雅子さまとのご結婚のとき(1993年)ですから、
25年ほどは恩赦が行われていないことになりますが、

来年の新天皇即位での恩赦というのは、世間からの理解も得られないように思います。

 

実際にネット上では、

限定とかじゃなく、恩赦自体やめて欲しい。

今の時代、恩赦なんていらないと思うが。

なんで天皇がやめただけで犯罪者の罪がなくなるの?
意味がわからない。

いつも思うが、こういう件と減刑がなんの関係があるのか。
理屈に合わないことはやめるべきだ。

何故確定した刑を覆す必要がある?

と、批判の声が多く上がっています。

新天皇即位は、おめでたいことで、国民をあげてお祝いしたいことではあるのですが、
それと犯罪者への恩赦とはどう考えても結びつきません。

政府は、微罪の受刑者を対象にすることや、復権に限定することなどを検討しているということですが、
有罪判決確定に伴って失われた法令上の資格(被選挙権など)を回復させる「復権」という
1番政治色の強い恩赦を検討していることに疑問を感じます。

これによって、有罪判決を受けた政治家が政治に復帰することもあり得るかもしれません。

恩赦を行うかどうかについては、まだ検討段階のようですが、
国民が納得できるような決定をしてほしいですね。

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